
経理 アウトソーシングからののアドバイス
今後同じような機関に同じようなことをやらせても、結果が改善される見込みはないということも、これからの都市開発は民間主導でやらなければいけない理由の一つだ。
しかし、それ以上に重要な理由がある。
それは、どんどん火の車状態になっている国や地方自治体の財政と、大都市圏の基盤整備でどうしてもやらなければいけない仕事の量を考えると、事業として採算の合う可能性が残されているプロジェクトは、ほとんど全部民間企業が民間の金でやるしかないということだ。
まず、採算ベースではできそうもないから、公共事業としてやるしかない方から、見ていこう。
たとえば、老朽木造住宅密集地の災害防止対策がある。
現在、防災と居住環境の両面から早急な改善を必要としている密集住宅市街地は、全国に二万五ヘクタール(二億五万平方メートル)も存在している。
そのうち東京都内にあるのは、五八ヘクタール(五八万な平方メートル)で、全国の四分の一近い数値になっている。
戸建て住宅の戸数に換算すれば、だいたい四万1五万戸分だ。
国土交通省は、このうち東京都内に存在する二ヘクタール(二万平方メートル)分について、今後一0年間で耐震改修工事、老朽木造建物の不燃建物への建て替え、道路の拡幅などの整備を行う方針を打ち出している。
世間一般の印象としては、老朽木造住宅密集地という大震災被害が大きいのは人気の都心西側地区だ!!と、墨田区、荒川区、足立区といったいわゆる下町の住居工場混在地区を連想しがちだ。
ところが、実際に阪神・淡路大震災級の直下型大地震が東京を襲ったとすれば、いちばん大きな火災被害を出すのは、じつは中野区、練馬区、杉並区、世田谷区といったいわゆる山の手の、住宅地と近隣商業地が混在している地域なのだ。
いわゆる下町の住居工場混在地域は、以下に説明するような理由で震災時の被害は意外に軽微ですむらしい。
まず、江戸時代から開けていた商業地が核となっているので、町割り区画がもともとしっかりしている。
二に、大震災直後に昭和通りの例に見られるように、かなり道路の拡幅化、直線化が進んだ。
そして三に、一九六0年代初めからの工場追い出し政策で郊外や地方の工業団地に移転した工場の跡地が、比較的広い敷地に建てられた不燃建物(大部分は中高層共同住宅)として再開発されて、大災害時に火事の延焼、類焼を防ぐ体制作りが進んでいる。
それに比べて、山の手の住宅地・近隣商業地混在地域は、以下のような問題を抱えている。
まず一に、関東大震災のころはまだ田畑だったので、大きな被害を受けなかった。
だから、狭くて曲がりくねった田畑のあぜ道が、きちんと拡幅されずにそのまま幹線道路になってしまった例がけつこう多い。
二に、住宅の中出に建っている中層建物のほとんどが、店舗兼用住宅のような小規模で敷地ぎりぎりに建て込んだ建造物のため、それ自体は不燃建物でも、住宅地で起きた火事の延焼、類焼を防げるような機能を持っていない。
こうした理由と、現時点での人口や実物資産の集中度を考えると、一期としてのこ000ヘクタールの老朽木造住宅整備事業は、山の手地区の住宅地・近隣商業地混在地域を中心に推進しないと、万が一大地震が起きたときの被害は大変なものになる。
その場合、老朽木造住宅密集地といっても、意外に多くの中層商業ピルのような不燃建物を巻き込んだ整備事業になるだろう。
この山の手の住宅地・近隣商業地混在地域の中でぼくがいちばん心配しているのは、下北沢だ。
とにかく、両側にびっしり店の並んだ道の幅が狭い。
これは、じつは買いものをする人間にはとても便利なことだ。
何か探しているときに道の向かい側に同じようなものがありそうな店を見つけたとすると、すぐ横断してそっちの店にあるものと見比べることができる。
あまり知られていないが、地下街でショッピングをする比率がいちばん高いのは、若い女性だ。
車を気にせずに両側の店を自分の見たい順番で見て回ることができるし、郊外のショッピングモールと違って、車で行って駐車場の心配もしなければならないなんて煩わしきがないからだ。
だから、下北沢の道路の狭さを買い回りの利便性は損なわずに解決する方法は、地下街を建設することしかないのではなかろうか。
道の両側に並んでいる商店を、かなり大きなパーセンテージでセットパックさせる。
しかし、すぐ下にはセットパックで拡幅された道路の真下まで両側からせり出した店舗スペースをつくって、地上でセットパックした店にはそこで失った面積プラスアルファで、たとえば一・五倍とか二倍とかの床面積で地下街にある店の営業権を保証してやる。
大深度地下まで使って、大量の駐車スペースもついでにつくっておけば、申し分ない。
だいたい、日本の大都市圏の郊外鉄道駅くらい、パーク・アンド・ライド(駅まで自動車を使って、駅からは電車通勤をする)というコンセプトがうまく当てはまりそうな場所はない。
駅へのアクセス道路が広くて、駅に大量の駐車スペースがあれば、駅まで運転してきた車を月ぎめで駅の真下の駐車場に入れて出動するというライフスタイルは、すごく便利だ。
帰りに日常生活のための買い物を駅前地下街でしたり、共働き世帯なら駅で落ち合って夕食を食べて帰るといったことが、とてもスムーズに行くはずだからだ。
みんなが駅前駐車場を月ぎめで借りるとなると、毎月の駐車場料金も大変だろう。
しかし、世帯ごとに駐車場を借り切らなくても、何世帯かが曜日を決めてシェアしでもいい。
もちろん、フリーのスペースも確保しておいて、共働き世帯で早く帰った方が車で駅まで遅いほうを迎えに行ってういでに夕食や買いものをすませるといった需要にも対応してほしい。
下北沢や吉祥寺は、こういう地下街開発の実験台としては最適だと思う。
現在までのところ、小泉純一郎首相の提唱する都市再生政策にも、I都知事の提唱する首都再生一兆円プランにも取り上げられていないが、都市再生政策の大きな柱に据える必要がある緊急の課題がある。
それは、車熱帯性を高める首都圏の夏の気候と、地表がどんどんコンクリートやアスファルトで覆われて地面が自然に雨水を吸収する能力が低下していることからくる、都市型集中豪雨対策だ。
まず一に押さえておかなくてはいけないことは、日本の実物資産のじつに四分の三は、たかだか一万年前には海の中だった沖積平野に集中しているということだ。
こうした非常に若い沖積平野はちょっと大きな水害でも、比較的簡単に地上にあるものすべてを押し流してしまうほど、地盤として脆弱なものらしい。
また、過去数年、毎年のようにひと夏で一、二回、東京都心部で一日当たり一00ミリ以上の集中豪雨が発生するようになっている。
この一日当たり一00ミリがどのくらい大きな降雨量かというと、パリは年聞を通じて平均月間降雨量が非常に安定していることで有名な都市だが、そのパリの降雨量は四季を通じてほぼコンスタントに月間五0ミリなのだそうだ。
つまり、最近の東京では、パリの二ヵ月分の雨が一日で降ってしまうことが、ひと夏に必ず一度はあるということなのだ。
一01二年前は、一日当たり一00ミリの降制雨量は三四年に一回といった頻度だった。
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